革靴・レザーシューズブランド【ARGIS】

コラム | colmun

ARGISというレザーシューズブランド

みなさん、はじめまして。

ARGISを含むメンズレザーシューズブランドの企画、運営、販売を行う、株式会社ハーベストの百瀬と申します。

今回のWEBサイトリニューアルは、ARGISブランドの歴史や、ブランドに込めた想いを改めて見直すきっかけになりました。
みなさんに作り手の想いが少しでも伝わればと思い文章にしてみました。最後までお読みいただけると嬉しいです。


ARGISが動き出したのは、ちょうど10年前。

世の中は、デフレスパイラルの真っただ中にあって、ありとあらゆるモノの値段が安くなる中、ファッション業界では、ファストファッションの台頭で低価格の大量生産品があふれ返っていました。靴も同じでした。少しでも安く、コストを削るために、アッパーの材料は本革から合成皮革に。生産地も転々と変わり、中国内陸部から東南アジアへ。

僕も最初はその波に乗り遅れまいとあがいていました。当時メインでやっていた事業は大きく売り上げを落としていたし、会社の経営状態は決して順調とは言えなかった。だから「なんとかしなければ」と思っていました。どんなモノを、どこの工場で、どれくらい安く作れば売れるだろうか。そんなことを日々考えていました。

ARGISというレザーシューズブランド01

なかなかいい考えが浮かばない中、アイデア探しのために街を歩いていた時、一足のカッコいいドレスシューズが目に留まりました。
しっとりとナチュラルな風合いで上品な質感。その頃、毎日のように目にしていたアジアの工場から届くサンプルとは明らかに違う雰囲気と表情でした。「イタリア製だな。なかなかいい値段のはずだ。」と思いました。

ところが、手に取ってじっくりと眺めてみると、「Made in JAPAN」 の文字が目に入りました。アジア産のものほどロープライスではないけれど、欧州産のものほどハイプライスなわけでもない。クオリティは欧州産にも劣らないことを考えると、むしろ安いと言えるのではないのか。

頭が新しい回路へと切り替わった気がしました。

「そうか、この道があったか。このやり方で、カジュアルシューズもいけるのではないだろうか。」そう思いました。

毎日毎日できるだけ安くと、コストのことばかり考えているうちにすっかり忘れていた当たり前のこと。ただ単に低価格なモノだけが安いってことじゃない。モノの価値に対して、どのくらいの価格を設定するのかが重要なんじゃないのか。ということを再認識しました。
それに自社の規模と資金力では、他の大手メーカーさんと値段では競争できないと感じ始めていました。これからはハイクオリティ、グッドプライスで勝負できるのではないだろうか。大量生産大量消費に疲れている人たちもきっといるはずだ。そう思いました。

クオリティのことを考えると欧州で作るという手もありました。欧州の靴づくりは素晴らしい。材料のクオリティも高いし、職人のセンスや、仕上げの遊び心は長年の伝統と文化に育まれたものです。でも、こちらの想いが伝わりにくい。言葉の壁。物理的な距離。習慣や考え方の違いもあります。そこで、改めて日本のモノづくりの良さはどこだろうかと考えてみました。

まずは、丁寧で正確なモノづくり。そして、常により良いものにする為に試行錯誤する探求心。更に、なんと言っても営業マンから工場の職人さんまで、関わるすべての人に想いを伝えることができる。というとこと。

「MADE IN JAPANのレザーシューズを作ろう。」と決めました。

ARGISというレザーシューズブランド02
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数々の海外の展示会を回り、靴工場にも訪れて、たくさんの種類の靴を見てきた経験を活かして、自分が納得できるモノづくりをしよう。
コツコツと小ロットで。一足一足に想いを込めて。お客様に喜んでもらえる商品を、自信をもってお薦めできる靴を作ろう。

まずは名前を付けよう。

自分たちの想いを端的に表すいい言葉はないだろうか、と考えました。国産にこだわるのだから日本語にルーツを持つ言葉にしたいと知恵を絞りました。頭をフル回転させて疲れ果てた頃、何気なくめくっていた古語辞典に「主す」という言葉を見つけました。
「あるじ-す」と読み、「人をもてなす」という意味を持つと書いてありました。私たち作り手が商品によってお客様をおもてなしする。とともに、お客様に私たちの商品のオーナー、主(あるじ)となって頂きたい、という意味も込められるのではないだろうか。

そうやってARGISは、歩き出しました。

デザイナーさんやメーカーさん、材料屋さんにも協力していただき、自分たちの納得のいく良いものはできました。
でも、そこからが簡単ではありませんでした。

ロープライスでなければ売れない、という考えが蔓延していて、小売店のバイヤーさんになかなか振り向いていただけませんでした。「いい靴だけど、うちの店ではちょっと値段が」という声が多く、展示会の案内をしてもなかなかアポイントをもらえませんでした。不景気の折、みんな自信を無くしていたし、新しいブランドに取り組む余裕もなかったのだと思います。

そんな中、私たちの考えに耳を傾けてくれ、オーダーを出してくれた小売店さんが少しだけありました。
そして、その少ないオーダーをメーカーさんが嫌な顔一つせず生産してくれました。

本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
一足一足に「ちゃんと売れてくるんやで!」って声をかけながら梱包して、
祈るような気持ちで納品しました。

ARGISというレザーシューズブランド04
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数日後、小売店さんから嬉しい電話がかかってきました。
「売れる。値段も通用する。追加の発注をしたい。」と。

涙が出た。本当に嬉しかった。
ちゃんと売れてくれた。世の中の人々に想いが届いた。
そんな気がしました。

その後も、決して順風満帆に歩んできたわけではありません。
派手な広告を打つ資金もなかったし、自社ブランドの管理なんて初めてだったから、得意先さんに迷惑をかけてお叱りを受けることもありました。それでも並べていただけるお店は少しずつ広がって、展示会に足を運んでくれる方も徐々に増えてきました。そうやってゆっくりだけど、一歩一歩、前を向いて歩いてきました。

ここ数年、たくさんの得意先の方々とお話をさせていただく中で、少し気になっていることがありました。
ARGISの魅力が十分にお客様に伝わっていないのではないか。ということです。

ARGISというレザーシューズブランド07

人材不足の影響もあり、販売員の方の数も減っているというし、バイヤーの方々も多忙でなかなか売り場への情報伝達が行われていないと聞きます。もちろん手に取っていただいて、直感で良いと思ってもらえるものを作っている自負はありました。でも、もっと分かりやすく、お客様に直接語りかけるような方法がないものだろうか、と考えました。それと同時に、「いいものを作るだけ」でいいのだろうか。ということも感じはじめていました。

もっとARGISブランドの価値を高めることも、僕たちの仕事なんじゃないだろうかと。
それだってお客様に所有する喜びを感じてもらうことにつながるのではないかと。

そういう思いから、今回ARGISのオフィシャルサイトをリニューアルすることにしました。
今回のリニューアルに際して、たくさんのカッコいい人たちと出会えました。

スマートで魅力あふれる企画を考えてくれるデザイナーさん。
とりとめのない僕の話を素敵な言葉で表現してくれるコピーライターさん。
いつも素晴らしい写真を撮ってくれるカメラマンさん。
そんな方々の仕事ぶりを見ていると自分の仕事について改めて考えさせられました。

ARGISってどんなブランドなのか。
そして、僕はARGISの靴をどんなモノにしていきたいのか。

「トレンドを抑えつつも、シンプルで素材の風合いを活かした靴を作る。」
「想いのこもった商品を作る。」 

このコンセプトは変わりません。

ARGISというレザーシューズブランド08
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そこに、この10年間の歩みから抽出したエッセンスをプラスして、
さらに円熟味を増した味わいや独特の表情を出せるようなモノづくりをしていきたい。
そしてすべてのオーナーの方の暮らしに、じっくりとじんわりと馴染む靴を作りたい。


あるく、あるじを、満たすくつ。


みなさん、今後ともARGISをよろしくお願いします。


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